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2007年08月29日

関西最終日 1:三光堂

私の京都土産の定番といえば、生八橋か甘泉堂の栗むし羊羹、もしくは京漬物のすぐき漬。
だけど今回は、
「京都に”松寿千年翠”って素晴らしく上品な味のクッキーがあるよ」と &oさんに教えて頂きまして、
そのお店情報を頼りに、ホテルか駅の近辺に買えるお店がないか訊ねてみようと直接電話してみました。

「はい、三光堂です」と電話に出た男性に、
その旨を伝えると「いまウチは、どこにも出してないんですわ。」とのこと。
― それなら、直接お店に伺いたいので場所を教えて頂けますか?と現在地を伝えると
「そこからなら205系統のバスに乗ってもろうて北大路堀川で降りて北側に歩いて・・・」とすぐに説明。
しかし、私が電話していた場所が、河原町三条という繁華街の路上だった為に、
車の騒音で声が聞き取りにくい。何度も聞き返しながら、バス路線と停留所の名前を書き留めてると
「せやけど、もう閉店なんで御遣いもんは一つしか・・・・・」って声が騒音に掻き消される。
は?閉店て?え?まだ午前中よね。。
聞き直そうしたところに、205系統のバスがやってきた。
ちょうどバス停のベンチに座ってメモしてた私。
― あ!いま205のバスが来たから乗ります!バス停に着いたらまた電話します!
と、バスに飛び乗った。
15分程バスに揺られ、指示されたバス停を確認して降りる。
『なんだか見覚えのある町並みだわねぇ・・・』とキョロ キョロ しながら、再度お店へ電話。
そこから約10分間、携帯片手に道順を聞きながら てくてく歩く。
荷物が重たい。暑い。蒸し暑い。ぜぃぜぃ。もうだめかも。
と、思ったところで、ようやくお店の看板が見えました。

店内に入ると、小さなケーキ屋さんみたいなショーケースがあってクッキーの箱が並んで・・・ない。
歯抜け状態のショーケースに、これから並べるのかな?と思うも・・・
なんかちょっと違和感のある空気に佇んでいると、奥から「疲れはったでしょう?」と男性が現われる。
今のいままで道案内をしてくれてた人の声だ!とすぐにわかって、お礼を述べる。
んで、
先ほど聞こえなかった「閉店」のことを訊ねると、
「ええ、2日後に店を閉めるんです。商売やめるんですよ。」と・・・
だからもう新しいクッキーは焼いてなくて、店頭に並んでるものだけでおしまいと言われる。
私が買いに行った”松寿千年翠”
「皆さん、これをよう買いに来てくれましたけど、これがほんまに最後の千年翠ですわ。どうぞ。」と
お遣物用の箱入りが一つと、家庭用の小さな袋入りが二つ、目の前に出されました。
最後と言われて、なんだか私までもがしんみりした気持ちになってしまいました。
ただ、かる~く お土産買うつもりでいただけなのに、まさかこんなシーンに出会うとは夢にも思わなかった。
― 初めて伺った私が、これを・・最後の貴重なものを買ってしまって良いんでしょうか?と、言うと
「わざわざ、これを買いに来てくれはったんじゃありませんか。これもご縁です。」と笑顔で応えられ・・・
じ~ん。
― ありがとうございます、頂いていきます。
「おおきに。」
外まで見送って下さり、お互いに深々とお辞儀をして別れる。


三光堂”松寿千年翠”

松とめでたさは日本人の心の象徴です。その松のめでたさと、不老長寿の願いをこめて、松葉を形取ってつくったクッキーで、名づけて「松寿千年翠」であります。薄だねを流し、上面に未さらし粉にごまをすりこみ、二重焼になったこの京菓子には上下二段の味がこまやかにからみ合い、さらりとほぐれのよい和風クッキーの逸品です。 ― 栞より

松寿千年翠から始まったという三光堂四十八年の歴史。
偶然とはいえ、私がその最後の松寿千年翠に出会ってしまった訳ですね。

大切にいただきます。

投稿者 ゆみ@尾だ鞠 : 2007年08月29日 00:00

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