« 関西最終日 2:大徳寺いちま | メイン | 関西番外編:錦市場 »

2007年08月29日

関西最終日 3:丸太町東洋亭

京都といえば・・・・・オムライス。
これって、ほんと?
私が京都に来ていると知った オムライスフェチ(?)のJより そのような情報が入ったのでございます。
「や~ね、アンタ知らなかったの?何年京都に通ってんのよっ!」
初耳だわよ。
「んじゃ、アタシが良いオミセ教えてあげるから食ってらっしゃい!」
ってことで、携帯にお店情報メールが届いた。

はい。本日のお目当てランチとは実はオムライスだったんです。
大徳寺いちまで予定外の美味しい手鞠寿司を頂いたあと、北大路通りからバスで丸太町へ。
住所だけを頼りに目指すランチのお店は、『丸太町東洋亭』。
朝、ホテルをチェックアウトするとき ホテルの人に訊いておいた最寄のバス停で降りる。
だけど、この時点で時間は1時50分・・・。J情報によるランチタイムは2時まで。
お店を探してたら間に合わないよなぁ・・・と、半分諦めつつ、
さて、誰かに訊ねてみようか。と歩き始めると
「ん・・・?」
いま 左手に通り過ぎた店が、目の端から何気にオーラを放ってたよーな気がして、そのまま数歩後ずさり。
そこには、2階建ての大きくはないけれども重厚感のある洋風建物が。。
壁にかかっている看板には『丸太町東洋亭』と、目指すお店の名前!


***

時間が時間だったので、断られるかな?と、だめもとでお店のドアを開けると
「いらっしゃいませ」と、和やかな声の女性に出迎えられました。(シェフの奥さまでした)
時間のことを訊ねると「大丈夫ですよ」と、嬉しい返事。
店内を見ると、外から来た目には薄暗い室内、4人掛けのテーブルが6席あるだけ。
だけど、そこには外界から遮断されたような ゆったりとした空気が流れています。
お水とメニューを持ってきてくれた 奥さまが
「時間、気になさらないでゆっくりお食事してくださいね」なんて、はんなり仰る。いいなぁ・・はんなり。
頼むものはオムライスと決まってるけど、一応メニューに目を通してみましたら・・・
オムライスがメニューに載ってない。
どこを見てもオムライスと書いてない。
あれれ?J情報、間違ってる?と不安になりつつ
「あの・・オムライスは・・・あります?」おそるおそる訊いてみると
「はい。今なら大丈夫ですよ。忙しい時間は作れないのでメニューに載せてないんです」とにっこり。
今なら?って、意味がよくわからないままでしたが、
そのままオーダー入れて、しばらくすると奥さまが雑誌を持ってみえまして
「オムライス、少し時間がかかりますからコレでも読んでらしてください」と・・・
一人客の私に気を遣って下さったようです。
なんでそんなに時間がかかるの?と、私の顔に書いてあったのでしょう
「ウチは石炭ストーブで調理してますから、火口が一個だけなんですよ。
今作り始めましたから、もう少しお待ちくださいね。」と、またもや奥さまにっこり。
奥の厨房から、カシャカシャと卵を混ぜる音が聞こえてきました。
それでも確かに、待ってる時間は長かったような気がします。

私の座るテーブルの前壁一面に杉本哲郎の壁画。

その絵の中の女性達が静かに店内を見守っているかのようで
忙しい人には不向きな時間の流れが そこかしこに漂ってる。。気がしてきた。

いつしか、周囲のテーブルにいらした他のお客様達もいなくなり店内には私ひとり。
ふぅ・・!と、やっと気持ちが店内の時間に同調したころ、オムライスが目の前に運ばれてきました。

・・・美しい。

正統派オムライス。といった感じの 凛とした佇まい。
ソースもケチャップもかかっていないのは、ライスの味がしっかりしているということ?と思っていたら
「皆さんそれぞれのお好みがありますから、ケチャップが必要でしたら仰ってくださいね」と奥さま。

スプーンを当てると、卵の表面が「いやん...」と言ったか言わないかのように・・優しく弾けました。
中のライスは、ハムライス。固めに茹でられたグリンピースがコロコロ紛れてる。

お味は、驚くほど美味というよりも 薄めの塩で品の良い美味しさ。
量的には結構なボリュームがあったので、このまま食べ続けたら飽きるかな?
飽きたらケチャップ貰おう。と思ってたけど、いつのまにやら そのまま食べ終わっておりました。
淡々と いつのまにやら完食、ってコトに自分で驚いた。滅多にないコトなので。。
これはなんて表現すれば良いんだろう?懐かしい美味しさ。とでも言うのかな。
だけど自分では作れない味だなぁ。と、食後のコーヒーを頂きながら満腹になったお腹をさすってた私。

それから、コーヒーのお代わりを持ってきて下さった奥さまと少しお話し。
こちらのお店は、大正六年創業という京都では有名な老舗洋食店だったのですね。
現在のシェフは、三代目。
明治時代、初代がまだ15~16才の頃、フランスへ行き料理人になりたいという夢があったらしく
当時、とても可愛がってくれていた米国人の御仁(料理研究家・平野レミさんの祖父)から、
「そんなに(フランスへ)行きたいなら・・」ということで、一緒に渡仏して様々な面倒をみてもらったのだとか。
(そのご縁で、今でも平野家とは親戚以上のお付き合いをなさってるそうです。)
初代は そのまま長年にわたってフランスに滞在した後、帰国して レストラン東洋亭を開業。

その開業時から現在に至るまで、石炭ストーブとそのコンロ一つで調理。
メニューは注文を聞いてから作り始めるために、どうしても時間がかかってしまうということで
4人掛けのテーブルが6席しかないという現状でも、シェフは手一杯なのだそうです。
そのかわり、時間がかかるということさえ理解してもらえれば、
いちど席に着いたお客様には、閉店時間までゆったり過ごして頂けるサービスをしていますと仰る。
あれは好き、コレは嫌いだから入れないで等など、お好みに合わせたワガママにも応えてくれるとか。
ゆったりとした食事を楽しんでもらうためにも、時間に追われない雰囲気を大切にしているとのこと。
だから、ディナータイムには予約が必須。
ランチタイムに出している ビーフシチュー、ハンバーグ、カレーなどの一品物は、夜には無し。
オムライスに限っては、ランチタイムであっても忙しい時にはお断りするそうです。

*****

丸太町 東洋亭

京都市上京区河原町丸太町上ル東側桝屋町370
電話 075-231-7055

時間 : (昼)11:30~14:00、(夜)17:30~20:30(L.O.)
定休日:月曜(祝日の場合は翌日休)

※姉妹店はありません

美味景色 | 2007年08月29日 00:00

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.yumisan.com/mt/mt-tb.cgi/244

コメント

コメントしてください




保存しますか?

(書式を変更するような一部のHTMLタグを使うことができます)